成長曲線作成表計算ファイル
このファイルは
低身長や肥満などを確認するために作られたエクセル用のファイルです。
性別、出生日、計測日、身長、体重、頭囲、胸囲を入力することで、該当年齢での標準的な身長、偏差値、肥満度、頭囲、胸囲の偏差値(Z score)などを求められます。
身長、体重を横断的標準身長・体重曲線のグラフにプロットします。
成長速度(1年あたりの身長の伸び)を計算し、縦断的標準成長曲線・標準成長率曲線のグラフにプロットします。
経時的なBMIの変化をグラフにプロットします。
頭囲、胸囲を発育曲線にプロットします。
両親の身長から、児の目標身長(Target height)、目標上限・下限(Target range:目標身長の±2SDの範囲)を求められます。
肥満度判定曲線を描き、身長と体重をプロットします。
頭囲を成長曲線を描き、プロットします。
計算式が多いので、ファイルを開くのに少し時間が掛かるかもしれません。
入力
テストデータ を使用した際の、各表、グラフの表示を示します。
上3行と二重線の左側(図の赤枠で囲んだ箇所)に、以下のデータを入力して下さい。
@児の名前 、児の性別 、出生日
児の名前を入力するとグラフの凡例に児の名前に表示されます。空欄でも構いません。
児の性別を「男」か「女」で選択して下さい。
出生日の入力形式は、2000/1/1などのように、エクセルで認識できる入力方式にして下さい。
早産児の場合は出生日を実際の出生日はなく予定日に修正すると良いかもしれません。
A父の身長 、母の身長
両親の身長は、Target heightを求めるのに使用します。
B計測日 、身長 、体重 、頭囲 、胸囲
計測日も出生日同様、エクセルで認識できる入力形式にして下さい。
体重は、gでもkgでも入力可能です。
300未満の数字が入力された際はkg、300以上の際はgとして計算します。
出力
二重線の右側など(図の青枠部分)に計算結果が出力されます。
@目標身長(Target height) 、目標上限 、目標下限(Target range)
児の最終身長の95%は、目標上限、目標下限の範囲内に収まると言われています。
A児の年齢、月齢、標準身長、身長Z score、成長速度、成長速度Z score、体重Zscore、頭囲Z score、BMI、肥満度
年齢 、月齢 は日本内分泌学会 日本人小児の体格の評価 に基づき、満年齢・月齢を採用しています。
例えば1月31日出生で3月1日測定の場合、差が29日のため、0歳0カ月になりますが、仕様です。
標準身長 は、「該当年齢での平均的な身長」です。
鈴木潤一:低身長に対する診断アプローチ. 小児内科 42 531-537, 2010 に記載されたものを使用しています。
オリジナルのデータは平成12年度乳幼児身体発育調査報告書(厚生労働省) ・平成12年度学校保健統計調査報告書(文部科学省)のデータを基にしているようです。
身長Z score は、いわゆる「身長のSD」です。
{(児の身長)−(標準身長)}/(該当年齢の標準偏差)で計算されます。
0だと平均、-2だと標準よりもかなり小さい、+2だと標準よりもかなり大きいことを示します。
標準偏差も 鈴木潤一:低身長に対する診断アプローチ. 小児内科 42 531-537, 2010 のデータを使用しています。以下、体重・頭囲の平均値、SDもこのデータを使用しています。
成長速度 は、1年間の身長の伸びを計算しています。
成長速度Z score は「いわゆる成長速度のSD」です。
偏差を求めるための成長速度の平均、標準偏差は
Seizo Suwa:Longitudinal Standards for Height and Height Velocity for Japanese Children from Birth to Maturity. Clinical Pediatric Endocrinology 1 5-13, 1992 のデータを使用しています。
成長速度の年齢は、2つのデータの中間値としました。
(例えば、1歳0ヶ月と2歳0ヶ月のデータがある場合は、成長速度の年齢は中間値の1歳6ヶ月となる)
体重Z score は、いわゆる「体重のSD」です。
発育障害の指標となると思います。但し、身長が低ければ標準となるべき体重も少なくなるので、体格(肥満、やせ)の評価としては不適切です。
頭囲Z score はいわゆる「頭囲のSD」です。
胸囲Z score はいわゆる「頭囲のSD」です。
他のZ scoreと異なり、胸囲Z scoreは
乳幼児身体発育調査の統計学的解析とその手法及び利活用に関する研究
で算出されたL、M、S値を用いて、擬似的なZ scoreを表示しています。
BMI は (体重kg)/(身長m)2 を計算したものです。別のシートに、小児の標準的なBMIが表示されます。
BMI Z score はいわゆる「BMIのSD」です。
計算式は
The Cubic Functions for Spline Smoothed L, S and M Values for BMI Reference Data of Japanese Children. Clinical Pediatric Endocrinology 2 47-49, 2011
を使用し、擬似的なZ scoreを表示しています。
標準体重 は、小児の場合同じ身長でも年齢によって異なります。求め方は、伊藤式と村田式の2種類があり、本表では各々の標準体重、肥満度を求めています。
日本内分泌学会 日本人小児の体格の評価 の計算式を基にしています。
肥満度 は、{(児の体重)−(標準体重)}/(標準体重)×100(%)で計算しています。
プラスは標準体重以上、マイナスは標準体重以下です。
これらの値は、以下の上限、下限を越えると、赤い太字 で表示されます。
項目 下限 上限
身長 Z score -2.0 2.0
成長速度 Z score -1.5 1.5
BMIパーセンタイル 10パーセンタイル 90パーセンタイル
肥満度 -20% +20%
17歳6ヶ月以降の標準身長、身長Zscore、成長速度、成長速度Zscore、体重Zscore、BMI %tileは17歳6ヶ月ののデータを代用して計算しています。
表示の切り替え
左下のシートを切り替えて、グラフを表示することができます。
成長曲線
成長曲線のグラフに児の身長、体重をプロットします。
0-6歳と、0-18歳の2つのグラフがあります。
赤い● が身長のプロット、青い■ が体重のプロットです。
先程の入力で児の名前を入れておくと、グラフの凡例に児の名前が反映されます。
成長速度
成長速度曲線のグラフに児の身長、成長速度をプロットします。
0-6歳と、0-18歳の2つのグラフがあります。
赤い● が身長のプロット、青い■ が成長速度のプロットです。
成長ピーク(男子13歳、女子11歳)周辺にある点線は、成長ピークの早い、遅いで分類した、平均や標準偏差です。
BMIの推移
年齢・性別による基準値の変化に児のBMIを赤い● でプロットします。
グラフの作成でAdiposity reboundが確認できると思います。
肥満判定度曲線
伊藤式による標準体重に基づくグラフを描き、そこに児の身長・体重を赤い● でプロットします。
頭囲成長曲線
平成12年度乳幼児身体発育調査報告書(厚生労働省) のデータに基づきパーセンタイルグラフを描き、そこに児の頭囲を赤い● でプロットします。
「入力」シートのZ scoreとパーセンタイルグラフは別のデータを元にしているので、Z scoreとグラフ上のプロットが一致しない場合もあります。
同様に、胸囲成長曲線も描かれます。
その他
再配布、改変は自由です。
計算の元となるデータシートを非表示にしていますが、書式設定で再表示可能です。
元データを確認したい、修正したい方は再表示して下さい。
このエクセルファイルの製作者は、小児科医を名乗っていますが、小児内分泌などに関しては精通しておりません。データはあくまでも参考資料に留め、評価は専門の医師に依頼して下さい。
ご意見・ご指摘はincus_アットマークhotmail.comにお願いいたします。
参考文献
鈴木潤一:低身長に対する診断アプローチ. 小児内科 42 531-537, 2010
日本内分泌学会 日本人小児の体格の評価
Seizo Suwa:Longitudinal Standards for Height and Height Velocity for Japanese Children from Birth to Maturity. Clinical Pediatric Endocrinology 1 5 -13, 1992
The Cubic Functions for Spline Smoothed L, S and M Values for BMI Reference Data of Japanese Children. Clinical Pediatric Endocrinology 2 47-49, 2011
平成24年3月 乳幼児身体発育評価マニュアル
平成12年度乳幼児身体発育調査報告書(厚生労働省)
乳幼児身体発育調査の統計学的解析とその手法及び利活用に関する研究
変更履歴
2012年10月5日 公開
2013年3月30日 修正(伊藤式と村田式の両方の肥満度を求めた。BMIパーセンタイルを加えた)
2013年4月10日 修正(体重SDを加えた)
2014年4月12日 修正(入力項目を30から150に増やした、出生日の入力欄を変更した、体重をgでもkgでも計算可能にした、背景を灰色から白色に変えた)
2014年8月14日 修正(肥満度判定曲線、頭囲成長曲線を加える。ページのタイトルを「成長曲線作成エクセルファイル」から「成長曲線作成表計算ファイル」に変更。商標上、こちらの方が良いらしい)
2015年1月9日 修正(胸囲成長曲線を加える。身長、体重の1歳未満の成長曲線を新たに作る)
2015年4月21日 最終修正(胸囲Z scoreを加える。BMIパーセンタイルをBMI Z scoreに変更する。)